全国版d4PDFダウンスケーリングデータ
データセット概要
大規模アンサンブル実験(d4PDF)の60km格子の全球気候モデルの結果を元に、5km格子の地域気候モデルを用いて日本全国を対象に各気候それぞれ732年間力学的ダウンスケーリングしたデータセットである。
モデル名
- 気象研究所非静力学地域気候モデルNHRCM (Sasaki et al. 2008)
実験構成
実験名 | 内容 |
---|---|
HPB_mNNN | 20世紀末実験 |
HFB_2K_XX_mNNN | 産業革命前に比べて全球平均気温が2℃上昇した条件 |
HFB_4K_XX_mNNN | 産業革命前に比べて全球平均気温が4℃上昇した条件 |
NNN: アンサンブル番号、XX: 海面水温変化パターン(CC,GF,HA,MI,MP,MR)
水平空間解像度
5km
バイアス補正
なし
本データの引用
-
- Kawase, H., M. Nosaka, S. I. Watanabe, K. Yamamoto, T. Shimura, Y. Naka, Y.-H. Wu, H. Okachi, T. Hoshino, R. Ito, S. Sugimoto, C. Suzuki, S. Fukui, T. Takemi, Y. Ishikawa, N. Mori, E. Nakakita, T. J. Yamada, A. Murata, T. Nakaegawa, I. Takayabu, 2023: Identifying Robust Changes of Extreme Precipitation in Japan From Large Ensemble 5-km-Grid Regional Experiments for 4K Warming Scenario. J. Geophys. Res. Atmos., 128, https://doi.org/10.1029/2023JD038513.
備考
気候予測データセット2022には、d4PDFから5km解像度に力学的ダウンスケーリングしたデータが3種類存在する。
「⑥北海道域 d4PDF ダウンスケーリングデータ」は、「⑤全球及び日本域確率的気候予測データ(d4PDF シリーズ)」の
日本域20km解像度データに含まれる十勝川帯広基準地点上流域の流域平均72時間雨量が、年最大となる降雨イベントを
含む15日間を5km解像度にダウンスケーリングしたものである。
20km解像度で表現される豪雨事例(天気図スケールで表現される気象場)を含む15日間について、
高解像度にダウンスケーリングした膨大な数のアンサンブルデータ
(気候予測データセット2022解説書のデータセットの概要を参照)が
使用可能であることから、当該流域の降雨量の統計的評価、洪水リスク評価、適応策の検討への応用など、
今後も様々な利用が考えられる。
「⑦本州域 d4PDF ダウンスケーリングデータ」と「⑯全国版d4PDFダウンスケーリングデータ」は、
通年を対象として日本付近で5kmダウンスケーリングを行っているなど共通点の多いデータである。
ただし、「⑦本州域 d4PDF ダウンスケーリングデータ」は計算領域が東北から九州限定であり、日本全国を対象とした評価には利用できない。
また、山岳域の雪の過大評価に注意する必要がある。
一方で、これまで当該データを利用していた場合をはじめ、ダウンスケーリング元の「⑤全球及び日本域確率的気候予測データ(d4PDF シリーズ)」の
日本域20km解像度データや、その他「⑦本州域 d4PDF ダウンスケーリングデータ」から派生したデータとの整合を重視する等の場合に、
引き続き活用可能なデータである。
中部山岳域、北信越、東北南部の3地域について1kmの解像度へダウンスケーリングした結果が含まれる唯一のデータでもある。
「⑯全国版d4PDFダウンスケーリングデータ」は、北海道から沖縄まで日本全国を統一した実験設定で評価する等の場合に有用なデータである。
また、「⑦本州域 d4PDF ダウンスケーリングデータ」の作成時に存在していたいくつかの問題(上述の山岳域の雪の問題など。
気候予測データセット2022解説書の留意事項等を参照)を修正しており、
今後、新規で解析する場合は、「⑯全国版d4PDFダウンスケーリングデータ」の使用を推奨する。