DIASコミュニティフォーラム2017開催報告
2月28日(火)、日経ホール&カンファレンス(大手町)において、「DIASコミュニティフォーラム2017」を開催いたしました。ご来場いただきました皆様に支えられ、盛況かつ無事に終了することができました。今後ともDIASの利用促進にご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
講演資料は下のリンクよりダウンロードいただけます。
開催要旨
データ統合・解析システム(DIAS: Data Integration & Analysis System)は、地球環境や社会経済データを収集・統合・解析し、地球規模課題の解決に貢献する情報基盤として開発されてきました。平成28年度からは、文部科学省事業「地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム」(以下「DIASプログラム」という。)として第3期をスタートしました。DIASは政府の地球環境情報プラットフォームの中核として、科学技術のみならず、様々な社会的課題の解決に貢献する社会基盤として、さらなる発展が期待されています。
今回のコミュニティフォーラムでは、DIASプログラムの実施主体であるリモート・センシング技術センター(RESTEC)、東京大学関係者、DIAS利用の裾野を広げるアプリケーションフィジビリティスタディー課題に取り組んでいる関係者およびご来場の皆様に、ビジネスやソーシャル/パブリック事業等でDIASがどのように利用できるのか?という観点から、より発展的なDIASの利用について議論いただきました。また、ポスター展示も行われ、DIASを活用したアプリケーションのアイディア等についてご来場の皆様との情報交換が行われました。
日時:平成29年2月28日(火)
場所:日経ホール&カンファレンス(大手町)
主催:文部科学省、リモート・センシング技術センター、東京大学
参加者:124名(関係府省、研究機関、大学、民間企業、報道機関、学生等)
冒頭、文部科学省研究開発局環境エネルギー課 藤吉尚之課長より開会挨拶・趣旨説明があり、本フォーラムを通じてDIASがビジネス分野にも活用されるとともに、様々な分野の社会的課題の解決に貢献する基盤としての「Society5.0」の推進にもつながるよう今後の期待が述べられました。
第一部の講演1では、DIASプログラムの実施責任者である一般財団法人リモート・センシング技術センター 井上準二常務理事より、「今後のDIASの戦略・ロードマップ」と題して、過去10年にわたるDIASの沿革とDIASの将来戦略、活動内容について説明させて頂きました。
続いて、講演2では、DIASプログラムのプロジェクトマネージャである三井物産戦略研究所 本郷尚シニア研究フェローより「「約束された市場」とDIAS」と題して、DIASの将来の事業機会とビジネスモデルの将来像についてご講演いただきました。
講演3では、DIASフィージビリティスタディ(FS)課題のうち、4つの課題について実施状況報告をしました。
まず、東京大学地球観測データ統融合連携研究機構 柴崎亮介教授より「リアルタイム降雨・降雪モニタリングに基づく高速道路の交通規制予報サービスの実現可能性調査」と題して、リアルタイムの降雨・降雪データから高速道路の規制を予報する技術と今後の展開についてご報告いただきました。
次に、金沢大学理工研究域 谷口健司准教授より「XRAIN及びひまわり8号観測データを用いた降雨システム解析と降雨予測手法開発に関する検討」と題して、Xバンドレーダーによる合成雨量とひまわり8号による観測データを用いて、大雨の短時間予報を行う技術についてご報告いただきました。
次に、千葉大学環境リモートセンシング研究センター 樋口篤志准教授より「静止気象衛星群より導出された太陽放射・太陽光発電量推定の世界展開」と題して、太陽放射や太陽光発電量出力の現況把握・予測技術と国際展開への展望についてご報告いただきました。
次に、NECソリューションイノベータ株式会社農林水産事業推進室 久寿居大上級プロフェッショナルより「精密農業と衛星画像ならびに各種属性データの俯瞰解析の統合に基づく世界の生産地生育推定技術の研究開発」と題して、衛星画像やアメダスデータと、圃場に置いた環境センサーを組み合わせて地域の生育状況を推定する技術についてご報告いただきました。
講演4では、東京大学大学院工学系研究科 小池俊雄教授より「DIASを用いた発電ダムの最適運用による利水・治水安全度の向上を目指して」と題して、DIAS上のリアルタイムデータを用いた発電ダムの最適運用モデルについてご報告いただきました。
講演5では、第一部の最後に東京大学地球観測データ統融合連携研究機構 生駒栄司特任准教授から「Touch and Feel DIAS!(体感DIAS)」と題して、実際のDIASの画面を見ながらデータの検索や閲覧、アプリケーションの利用、データの登録などのデモンストレーションを実施していただきました。
講演・報告に引き続いて行われたパネルディスカッションでは、リモート・センシング技術センター 井上準二常務理事をモデレータとして、パネリストに、東京大学 柴崎亮介教授、東京大学 生駒栄司特任准教授、金沢大学 谷口健司准教授、千葉大学 樋口篤志准教授、日本工営株式会社技術本部中央研究所 小野寺勝国際研究企画センター長・中央研究所長、NECソリューションイノベータ株式会社 久寿居大上級プロフェッショナルをお招きし、「DIASのビジネス化に向けた今後の課題と展望」について議論を行いました。その結果、DIASの価値の根源、将来的なDIASによるデータ提供のあり方と課題について議論が行われ、自然科学系の汎用性のあるデータが揃っているなどのDIASのプラットフォームとしての強みに着目した先進サービスの開発に一層力を注ぐべき、との認識が共有されました。
また、ポスターセッションでは、RESTEC、東京大学、FS課題実施者よりポスター展示が行われ、これまでの活動内容・成果についての紹介と来場者との意見交換が行われました。
プログラム
オープニング 13:30 - 13:35 | 藤吉 尚之 文部科学省研究開発局環境エネルギー課 課長 |
第1部 13:35 - 15:45 | DIASの戦略 1. 今後のDIASの戦略・ロードマップ 井上 準二 リモート・センシング技術センター 常務理事 資料ダウンロード(PDF) 2. 「約束された市場」とDIAS 本郷 尚 DIASプロジェクトマネージャ、三井物産戦略研究所 シニア研究フェロー 資料ダウンロード(PDF) 3. フィージビリティスタディ(FS)課題の実施状況報告 リアルタイム降雨・降雪モニタリングに基づく高速道路の交通規制予報サービスの実現可能性調査 柴崎 亮介 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 機構長、東京大学 空間情報科学研究センター 教授 資料ダウンロード(PDF) XRAIN及びひまわり8号観測データを用いた降雨システム解析と降雨予測手法開発に関する検討 谷口 健司 金沢大学 理工研究域 准教授 資料ダウンロード(PDF) 静止気象衛星群より導出された太陽放射・太陽光発電量推定の世界展開 樋口 篤志 千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授 資料ダウンロード(PDF) 精密農業と衛星画像ならびに各種属性データの俯瞰解析の統合に基づく世界の生産地生育推定技術の研究開発 久寿居 大 NECソリューションイノベータ株式会社 農林水産事業推進室 上級プロフェッショナル 資料ダウンロード(PDF) 4. DIASを用いた発電ダムの最適運用による利水・治水安全度の向上を目指して 小池 俊雄 水災害・リスクマネジメント国際センター センター長、東京大学大学院 工学系研究科 教授 資料ダウンロード(PDF) 5. Touch and Feel DIAS!(体感DIAS) 生駒 栄司 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 特任准教授 資料ダウンロード(PDF) |
休憩 15:45 - 16:05 | ポスター展示 |
第2部 16:05 - 17:00 | パネルディスカッション:DIASのビジネス化に向けた今後の課題と展望 モデレータ: 井上 準二 リモート・センシング技術センター 常務理事 パネリスト: 柴崎 亮介 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 機構長、東京大学 空間情報科学研究センター 教授 生駒 栄司 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 特任准教授 小野寺 勝 日本工営株式会社 技術本部中央研究所 国際研究企画センター長、中央研究所長 久寿居 大 NECソリューションイノベータ株式会社 農林水産事業推進室 上級プロフェッショナル 谷口 健司 金沢大学 理工研究域 准教授 樋口 篤志 千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授 |
クロージング 17:00 - 17:05 | 井上 準二 リモート・センシング技術センター 常務理事 |
ポスター一覧
※()内は代表機関
- 今後のDIASの戦略・ロードマップ(リモート・センシング技術センター)
- DIAS地球環境情報プラットフォームの構築と運用1(東京大学)
- DIAS地球環境情報プラットフォームの構築と運用2(東京大学)
- 水課題アプリケーションの開発:【 降水予測と洪水現況予測 】(東京大学)
- 水課題アプリケーションの開発:【水循環シミュレーション水文モデル(WEB-DHM)】(東京大学)
- 水課題アプリケーションの開発:【社会実装に向けた検討】(東京大学)
- FS課題1「リアルタイム降雨・降雪モニタリングに基づく高速道路の交通規制予報サービスの実現可能性調査」(東京大学)
- FS課題2「静止気象衛星群より導出された太陽放射・太陽光発電量推定の世界展開」(千葉大学)
- FS課題3「精緻な浸水予測手法を基礎とした東京都23区の豪雨時リアルタイム浸水予測システムの実用化に向けたフィジビリティスタディ」(早稲田大学)
- FS課題4「XRIAN及びひまわり8号観測データを用いた降雨システム解析と降雨予測手法開発に関する検討」(金沢大学)
- FS課題5「XRAINデータ等を用いた高度気象プロダクト作成によるイノベーション創出に向けた調査」(防災科学技術研究所)
- FS課題6「開発途上国大都市の健康課題解決:デング熱発症警報システムの構築を中心として」(東京大学)
- FS課題7「精密農業と衛星画像ならびに各種属性データの俯瞰解析の統合に基づく世界の生産地生育推定技術の研究開発」(NECソリューションイノベータ)
- FS課題8「自治体向けリアルタイム浸水ハザードマッピング実現に向けた共通プラットフォームの開発」(京都大学)