DIASシンポジウム2017開催報告

 

2017年7月31日(月)、東京大学伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホールにおいて、DIASシンポジウム2017「DIASを活用した社会課題の克服に向けて-防災・食料・エネルギー分野の取り組み-」を開催しました。ご来場いただいた皆様に支えられ、盛況のうちに終了することができました。

講演資料は下のリンクよりダウンロードいただけます。

開催要旨

データ統合・解析システムDIAS(Data Integration and Analysis System)は、地球環境や社会経済データを収集・統合・解析し、気候変動や大規模自然災害等の地球環境課題の解決に貢献することを目指しています。本シンポジウムでは「防災」、「食料・食品・物流」、「エネルギー」の3つの分野を取り上げ、DIASを活用したアプリケーションの開発事例を紹介し、これらの分野に取り組む企業にも参加いただきながら、DIAS活用による課題克服の可能性を探りました。

日時:2017年7月31日(月)13:30~18:30
場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
参加者:227名(民間企業、関係府省、研究機関、大学、報道機関等)

結果概要

冒頭、大山真未 文部科学省大臣官房審議官より開会挨拶があり、本シンポジウムが、防災、食料・食品・物流、エネルギーをはじめとする様々な分野におけるDIAS活用の可能性を見出す機会となるとともに、DIASが社会的課題の解決に貢献する基盤として「Society5.0」の推進にもつながるよう今後の期待が述べられました。

DIASシンポジウム2017

左)会場風景 右)大山真未 文部科学省大臣官房審議官

基調講演では、喜連川優 国立情報学研究所長/東京大学生産技術研究所教授より、「デジタライゼーションがもたらす社会のイノベーション」と題して、今年5月に発生したスリランカ豪雨の際に、DIASからリアルタイム情報提供を行った国際貢献事例や、DIAS上のAPIの融合による新たな価値の創出についてご講演いただきました。

続いて、井上準二 リモート・センシング技術センター常務理事より、「DIASの全体概要及びビジネス展開に向けた今後の方向性」と題して、DIASのこれまでの歩み、利用拡大に向けた取り組みと今後の方向性について報告いたしました。

DIASシンポジウム2017

左)喜連川優 国立情報学研究所長/東京大学生産技術研究所教授 右)井上準二 リモート・センシング技術センター常務理事

続いて、DIASプログラムのプロジェクトマネージャである本郷尚(株)三井物産戦略研究所シニア研究フェローをモデレータとして、「防災」、「食料・食品・物流」、「エネルギー」についての分野別セッションを行い、DIASが社会的課題に対して様々な貢献ができる可能性があること、成果の社会実装に向けて今後さらに努力していくことが重要であることが確認されました。

防災分野のセッションでは、清水慎吾 防災科学技術研究所主任研究員、関根正人 早稲田大学理工学術院教授、菊谷英彦 いであ(株)執行役員 情報システム事業本部長をお招きするとともに、喜連川優 国立情報学研究所長/東京大学生産技術研究所教授、永野嗣人 リモート・センシング技術センターソリューション事業部事業開拓課長代理も登壇の上、DIAS活用による防災分野の課題克服の可能性について討議されました。

DIASシンポジウム2017

左)本郷尚 DIASプロジェクトマネージャ 右)分野別セッション(防災分野)

食料・食品・物流分野のセッションでは、柴崎亮介 東京大学地球観測データ統融合連携研究機構長/空間情報科学研究センター教授、丹波澄雄 弘前大学大学院理工学研究科准教授、木根原良樹(株)三菱総合研究所政策・経済研究センター兼科学・安全事業本部参与、三宅香 イオン(株)執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当をお招きし、原材料の調達がグローバル化する食料・食品・物流分野で抱える課題等について討議が行われました。

DIASシンポジウム2017

左)分野別セッション(食料・食品・物流分野) 右)分野別セッション(エネルギー分野)

エネルギー分野のセッションでは、小野寺勝 日本工営(株)中央研究所長、樋口篤志 千葉大学環境リモートセンシング研究センター准教授、高橋龍 三井物産(株)国内プロジェクト開発部第二営業室長、丹羽弘善 デロイトトーマツコンサルティング合同会社パブリックセクターマネジャーをお招きし、再生可能エネルギーを中心とした社会的課題等について討議が行われました。

分野別セッション後のポスター展示では、来場者とDIAS関係者との意見交換が行われました。

 

プログラム

オープニング
13:30-13:35
大山 真未 文部科学省 大臣官房審議官
基調講演
13:35-13:50
喜連川優デジタライゼーションがもたらす社会のイノベーション
喜連川 優 国立情報学研究所 所長/東京大学生産技術研究所 教授
1983年東京大学博士課程修了。工学博士。講師、助教授を経て現在同大教授および国立情報学研究所所長。ビッグデータの基盤技術開発やプラットフォーム構築を推進し、DIAS第1・2期、「情報爆発」特定領域研究、情報大航海、最先端研究支援プログラム(FIRST)等国家プロジェクトを多数先導。情報処理学会会長、日本学術会議情報学委員会委員長等を歴任。専門はデータベース工学。
DIAS概要
13:50-14:05
井上準二DIASの全体概要及びビジネス展開に向けた今後の方向性
井上 準二 リモート・センシング技術センター 常務理事
1974年、三菱商事入社。宇宙事業開発(観測・通信衛星)を担当。1993年、MIC Palo Alto事務所長。MC Silicon Vally社長兼務。1997年、三菱商事情報産業総括部長。2000年、MIC NY上級副社長。2003年より2011年まで、三菱商事執行役員、アイ・ティ・フロンティア社長、同会長等を歴任。現在、リモート・センシング技術センター常務理事。東京大学工学部卒。
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分野別
セッション

本郷尚 モデレータ:
本郷 尚 DIASプロジェクトマネージャ/(株)三井物産戦略研究所 シニア研究フェロー
DIASプロジェクトマネージャ。国際排出量取引協会理事、ICAO市場メカニズムタスクフォース委員、GLOBE Japanアドバイザーなど。日経産業新聞「Eの新話」連載(2010年~)、Managing the Transition to Low Carbon Economy(共著)など。元国際協力銀行特命審議役。
喜連川優 DIAS開発:
喜連川 優 国立情報学研究所 所長/東京大学生産技術研究所 教授
永野嗣人DIAS利用促進:
永野 嗣人 リモート・センシング技術センター ソリューション事業部 事業開拓課 課長代理
DIASプロジェクトサブマネージャ。NTT東日本、リンクアンドモチベーショングループ、宇宙航空研究開発機構(出向)、有人宇宙システムを経て現職。天候インデックス保険、ASEAN農業統計、島嶼国ハザードマップなど、海外農業および気候変動対策向けの衛星リモートセンシングサービス開発を担当。
防災分野
14:05-15:05
清水慎吾 清水 慎吾 防災科学技術研究所 主任研究員
1977年生まれ。40歳。北海道大学理学部地球科学科卒業、名古屋大学環境学研究科地球環境科学専攻修了、博士号(理学)を2007年に取得。2006年から防災科学技術研究所にてレーダなどの気象観測データを数値予測に取り込む。データ同化手法、積乱雲自動追跡アルゴリズム、積乱雲内の気流解析アルゴリズムなどを開発。現在に至る。
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関根正人 関根 正人 早稲田大学理工学術院 教授
専門は大都市の水防災工学・河川工学。2001年より東京の大規模浸水予測に研究を始め、昨年度末に23区内全域を対象とした精緻な浸水予測手法を完成させた。また、この予測計算の精度検証を進めるとともに、東京が抱える浸水リスクを明らかにしてきた。現在、このシステムを核とした「リアルタイム浸水予測システム」を作り上げ、社会実装するための取り組みを加速させている。このほか、国土交通省社会資本整備審議会専門委員、国土審議会専門委員などを歴任。


菊谷英彦 菊谷 英彦 いであ(株)執行役員 情報システム事業本部 本部長
日本建設コンサルタント(株)河川部、いであ(株)建設技術事業本部を経て、平成23年より現職。主に国内・直轄水系の治水計画、河川整備計画、防災・減災に関わる計画やシステム業務など。特に洪水予測システムの検討は、1982年の8ビットマイコン(FM-8)によるオンライン洪水予測システム構築から現在まで各河川で業務実施。
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食料・食品・物流分野
15:15-16:15
柴崎亮介 柴崎 亮介 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 機構長/空間情報科学研究センター 教授
東京大学・地球観測データ統融合連携研究機構長、空間情報科学研究センター・教授。都市から国スケールでの人流・車流マッピング、観測データとシミュレーションモデルを同化によるナウキャスト・フォアキャスト技術などに関する研究を進めている。また地理空間情報の流通や統合による価値創造を進めるG空間情報センターを主宰。
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丹波澄雄 丹波 澄雄 弘前大学大学院理工学研究科 准教授
専門はリモートセンシングで、NOAA衛星データによる海表面温度推定、人工衛星やドローンによる水田観測、ドローン観測のリンゴ果樹生産業への利用、GISを用いた不法投棄の研究などを手掛けている。
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木根原良樹 木根原 良樹 (株)三菱総合研究所 政策・経済研究センター兼科学・安全事業本部 参与
自動車メーカーを経て1989年に入社。専門はリスクマネジメント。これまでに防災・減災対策、BCM(事業継続マネジメント)、食料・食品供給の危機管理、鉄道・航空輸送の安全情報分析、気候変動適応などをテーマとした中央省庁や地方公共団体、民間企業からの受託業務に従事。
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三宅香 三宅 香 イオン(株)執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当
1991年ジャスコ(株)入社、国際事業本部配属。2002年イオン(株)財務部、2006年Gビジョン策定プロジェクトリーダー、2007年イオン(株)ブランディング部部長、2008年クレアーズ日本(株)代表取締役社長、2013年イオンリテール(株)お客さまサービス部長、2014年同社執行役員お客さまサービス部長、2015年同社執行役員広報部兼お客さまサービス部長を経て、2017年よりイオン(株)執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当。
エネルギー
分野
16:25-17:25
小野寺勝 小野寺 勝 日本工営(株)中央研究所 所長
1986年日本工営入社、2015年7月より現職。専門は河川工学、特に風水害、土砂災害、火山災害、地震、津波災害等の減災・防災計画や防災情報分野で多数の業務実績を有す。DIASでは、水課題のアプリケーション開発に参画し、発電ダムの流入量予測と最適なダム管理の検討を担っている。土木学会フェロー会員で、土木学会企画委員会の委員兼幹事。
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樋口篤志 樋口 篤志 千葉大学環境リモートセンシング研究センター 准教授
1971年生まれ。筑波大学大学院修了、博士(理学)、名古屋大学地球水循環研究センター(現宇宙地球環境研究所)助手等を経て、2005年より現職。専門は水文学、衛星気候学。
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高橋龍 高橋 龍 三井物産(株)国内プロジェクト開発部 第二営業室 室長
1991年東京大学工学部電気工学科卒業。三井物産入社後は一貫して電力分野の業務に従事。国内電力会社への発電設備納入・メンテナンス対応、海外発電資産の運営管理、電力システム改革に伴う電力小売への参入・国内新規電源の開発等を経て、直近では再エネ電源の開発・運営・管理を担当。


丹羽弘善 丹羽 弘善 デロイトトーマツコンサルティング合同会社 パブリックセクター マネジャー
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻修士卒。環境エネルギーコンサル会社に所属し、商社とのJV取締役を得て現職。現職では、環境エネルギー関係のコンサルティング業務に従事し、再生可能エネルギーに係るロードマップ構築、制度運営、企業向けビジネスモデル構築・実証を得意とする。
クロージング
17:25-17:30
本郷 尚 DIAS プロジェクトマネージャ/(株)三井物産戦略研究所 シニア研究フェロー

 

ポスター展示

No.タイトル
代表機関
1DIASの概要
ダウンロード (PDF)
リモート・センシング技術センター
2DIAS地球観測情報プラットフォームの構築と運用
ダウンロード (PDF)
東京大学
3DIAS地球観測情報プラットフォームの構築と運用
ダウンロード (PDF)
東京大学
4水課題アプリケーションの開発:【降水予測と洪水現況予測】
ダウンロード (PDF)
東京大学
5水課題アプリケーションの開発:【水循環シミュレーション水文モデル(WEB-DHM)】
ダウンロード (PDF)
東京大学
6水課題アプリケーションの開発:【社会実装に向けた検討】
ダウンロード (PDF)
東京大学
7FS課題「リアルタイム降雨・降雪モニタリングに基づく高速道路の交通規制予報サービスの実現可能性調査」
ダウンロード (PDF)
東京大学
8FS課題「静止気象衛星群より導出された太陽放射・太陽光発電量推定の世界展開」
ダウンロード (PDF)
千葉大学
9FS課題「精緻な浸水予測手法を基礎とした東京都23区の豪雨時リアルタイム浸水予測システムの実用化に向けたフィジビリティスタディ」
ダウンロード (PDF)
早稲田大学
10FS課題「XRAIN及びひまわり8号観測データを用いた降雨システム解析と降雨予測手法開発に関する検討」
ダウンロード (PDF)
金沢大学
11FS課題「XRAINデータ等を用いた高度気象プロダクト作成によるイノベーション創出に向けた調査」
ダウンロード (PDF)
防災科学技術研究所
12FS課題「開発途上国大都市の健康課題解決:デング熱発症警報システムの構築を中心として」
ダウンロード (PDF)
東京大学
13FS課題「精密農業と衛星画像ならびに各種属性データの俯瞰解析の統合に基づく世界の生産地生育推定技術の研究開発」
ダウンロード (PDF)
NECソリューションイノベータ
14FS課題「自治体向けリアルタイム浸水ハザードマッピング実現に向けた共通プラットフォームの開発」
ダウンロード (PDF)
京都大学
15SI-CAT「近未来気候変動予測データベースシステムの開発」
ダウンロード (PDF)
海洋研究開発機構
16SI-CAT「気候変動適応のための地域気候シナリオの創出 汎用的ダウンスケーリング技術開発(統計ダウンスケーリング)」
ダウンロード (PDF)
防災科学技術研究所
17SI-CAT「気候変動適応のための地域気候シナリオの創出 汎用的ダウンスケーリング技術開発(力学ダウンスケーリング)」
ダウンロード (PDF)
防災科学技術研究所
18SI-CAT「暑熱課題ワーキンググループ」
ダウンロード (PDF)
埼玉県環境科学国際センター

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