研究データ利用事例共有プラットフォーム「Mahalo Button」に生成AI機能などを導入しました
オープンサイエンスの重要な課題であるデータ利活用の促進とデータ作成者の評価に貢献するために、DIAS(Data Integration and Analysis System)では研究データ利用事例共有プラットフォーム「Mahalo Button」を開発、運用しています。
データセット公開ページにMahalo Buttonを設置すれば、データがどのように利用されたかという利用事例を登録、共有、活用できます。データ自体の説明としてのメタデータだけでなく、データの利用に関する豊富な情報も提供できることは、データリポジトリにとって大きなメリットとなります。
このたび公開した新バージョンは、Mahalo Buttonの多くの機能を改善して実用性を高めました。主な新機能は以下の通りです。
新機能1.生成AIによる研究データ利用事例の登録・調査支援
- 生成AIによる研究データ利用事例の登録支援:研究データを利用した論文や文書から該当箇所のテキストをコピーすると、生成AIによってその概要とキーワードを自動的に生成できるようになりました。
- 生成AIによる研究データ利用事例の調査支援:研究データの利用事例に関するテキストをコンテキストに設定したAIチャットにより、利用事例の全体的なまとめや、特定分野に合わせた解説など、プロンプトに応じた情報を生成できるようになりました。
このように、生成AIを活用した作業負荷軽減や付加価値創出などを通して、研究データの利用促進を目指します。
新機能2.データセットDOIを用いたデータ引用論文の登録支援
外部サービスのAPIを利用して、研究データDOIを引用した論文が検索できるようになりました。外部サービスとしてはDataCiteとOpen Citationsに対応しています。これらのサービスを用いてデータセットのDOIを引用している論文を検索し、Mahalo Buttonに未登録の論文があれば、書誌情報をDOIから取得し、生成AIの支援により情報をまとめ、データ利用事例の登録をスムーズに進めることができます。
Mahalo Buttonの利用
Mahalo Buttonはアカウントを作成すればどなたでも利用できます。詳しい利用方法につきましては、Mahalo Button - 研究データ利用事例共有プラットフォームをご覧ください。
Mahalo Buttonは、研究データの利用事例報告を収集するシステムとしても有用です。多くのデータリポジトリでは、研究データの利用事例を報告するようユーザに求めていますが、利用事例の報告は低調であり活用もされていません。一方Mahalo Buttonを使えば、ユーザが登録した利用事例を広く共有でき、利用事例の調査にも活用できるため、データリポジトリを通したデータの広報と利用がさらに進展する可能性があります。
Mahalo Buttonは、最初のバージョンを2021年7月に公開し、2021年11月にはDIASに導入しました(参考:DIASに研究データ利用状況の共有サービス「Mahalo Button」を導入しました)。その後も継続的にプラットフォームの機能改善およびDIASを対象とした研究データ利用事例の登録を進め、現在は330件のデータ(Mahalo Button)について、502件の利用事例(Mahalo Card)を公開しています。
Japan Open Science Summit 2025
Mahalo Buttonの全体像をご紹介するセミナーを、Japan Open Science Summit 2025で開催します。参加無料(要事前登録)ですので、ぜひご参加ください。
Japan Open Science Summit 2025
セッションB7「研究データ利用事例の収集・分析・活用に向けて」
6/26(木) 17 : 00~18 : 30 オンライン
DIASにおけるMahalo Button導入についてのお問い合わせはDIAS事務局までお寄せください。