DIAS事業について

現在のDIAS事業は令和3年度から10年間の予定で、文部科学省の「地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業」として、JAMSTECへの補助事業として実施されています。

文部科学省では、世界に先駆けて、平成18年度から地球観測・予測情報を効果的・効率的に組み合わせて新たに有用な情報を創出することが可能な情報基盤である、「データ統合・解析システム(DIAS:Data Integration and Analysis System)」を開発してきました。

これまでに国内外の大学、研究機関、政府、地方自治体や国際枠組の下で国内外の多くのユーザーにより実施される、地球観測・予測情報等の地球環境データ(以下「地球環境ビッグデータ」)を用いた研究開発等を支え、気候変動・水課題を中心に国内外の社会課題の解決に資する成果を創出してきました。

これまでの成果・実績を活かしつつ、地球環境ビッグデータの利活用を更に拡大・展開させ、防災・減災対策や気候変動対策に貢献する地球環境分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を更に推進するとともに、国、地方自治体、企業等の意思決定に貢献する、防災・減災対策や気候変動対策を中心とした地球環境全体のデータプラットフォーム(ハブ)としての長期的・安定的運用の確立を目指します。

事業の背景

統合イノベーション戦略(令和2年7月 閣議決定)において、DIASは「データ連携基盤(地球環境)」に位置づけられており、到達すべき姿として、

  1. 社会経済活動への影響等に対応できるプラットフォーム「ハブ」を構築し、成果の社会還元を実施
  2. 多様なニーズに応える解析システム・アプリケーションの開発を進め、基盤の強化・高度化を図る
  3. 継続的なデータ蓄積と、社会還元を実現する重要な基盤として、長期的・安定的な運用を実施

が示されています。また、同戦略においては、研究環境のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進として、研究データ等の効果的・効率的な創出・共用・利活用環境の整備等、研究開発環境と研究手法のデジタル転換が示されています。

さらに、「宇宙基本計画」(令和2年6月 閣議決定)においては、「DIASの解析環境の強化、高度化(ビッグデータを統合解析するための基盤技術の開発等)を進め、防災、国土強靱化、気候変動等の地球規模課題の解決に貢献する」ことが示されています。

また、文部科学省の科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 地球観測推進部会において取りまとめられた「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」フォローアップ報告書(令和2年8月)において、DIAS等のデータ基盤の継続的な維持管理を行うとともに、更なる機能強化を図ることの必要性やSDGsやパリ協定など様々な課題解決に利活用できるデータ基盤の重要性、継続的な予測情報の高精度化とあわせて、地球観測データの統合的な利用に資する情報提供の促進が示されています。

さらに、産業分野においても、地球環境ビッグデータは、企業に対するESG投資の判断や気候変動を踏まえた企業の将来戦略検討への活用など、今後ますます多様なセクターでの活用が見込まれる情報であり、更なる利用の拡大が想定されます。

これまでの成果・実績を更に拡大・展開させ、DIASについて、これまで以上にリモート下の研究開発が中心となっていくことが見込まれる中で、運用主体の主体的な取組により、地球環境ビッグデータの利活用が更に進み、地球環境分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献するとともに、他の情報基盤等とも連携し、国、地方自治体、企業等の意思決定に貢献(気候変動に伴う様々な社会経済活動への影響対策等に貢献)します。また、防災・減災対策や気候変動対策を中心とした地球環境全体のデータプラットフォーム(ハブ)として、長期的・安定的な運用の下で、常に変化する社会(ユーザー)ニーズに応え進化することで、常に魅力ある情報基盤の提供を実現していきます。

事業の目的

本事業では、地球環境ビッグデータを蓄積、統合・解析するDIASについて、これまでの強みを生かして地球科学と情報科学を融合させた最先端の研究開発を進めることにより、データ利活用を更に拡大・展開します。さらに、他の情報基盤等とも連携し、国、地方自治体、企業等の意思決定に貢献するなど、気候変動に起因する経済・社会的課題の解決等に貢献するために、広範な分野から研究者・技術者が集う場を形成し、萌芽的な研究を促進するオープンプラットフォームの構築を目指します。

また、DIASの強みである大容量のストレージを生かし、スーパーコンピューターや他のプラットフォームとの連携を進め、更なる利用拡大を図ります。さらに、これらの活動等を通じて、研究者の人材育成へも貢献します。

事業の概要

本事業では、上記目的を達成するため、DIASを維持管理し、DIASの強みであるビッグデータ、リアルタイムデータ等を引き続き蓄積・整備、利用拡大を図るとともに、これまでの水課題(水災害)を中心とした成果・実績の更なる拡大・展開や、他の情報基盤等とも連携した防災・減災対策をはじめとした様々な分野における気候変動対策等の社会課題の解決に貢献する新たな研究開発・アプリケーション開発及びその社会実装等を行います。また、GEO(地球観測に関する政府間会合)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等を通じた国際貢献、学術研究の推進等を行うことで、上記目的にある、国や地方自治体、企業等の意思決定に貢献する魅力ある情報基盤を提供します。

また、リモート下のデータ利活用を強化するための計算資源等の設備整備、利用拡大や人材育成等により、地球環境ビッグデータを利活用した気候変動、防災等の地球規模課題の解決に貢献する研究開発を推進するだけでなく、人文社会科学等を含めた様々な分野の専門家を巻き込んだ IT 人材と気候変動等が融合した新分野の開拓や、利用拡大に向けた広報活動等を行うとともに、データ利活用のリテラシーの向上に向けた取組を推進します。

事業実施期間:10年間(令和3年度~令和12年度)

出典:文部科学省 「地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業」の公募について