概要

自然の大きな変動は人間社会に甚大な災害を引き起こす一方で、地球温暖化や生態系の破壊など、人間活動の影響が自然系の変化をもたらし、人間活動の制約条件になっています。こうした問題に対して、地球観測データを利用して、地球環境の理解を深め、予測能力を高め、危機管理や資源管理等における健全な意思決定に資する情報を提供することが国内外から求められています。

データ統合・解析システムDIAS(Data Integration and Analysis System)は、地球規模/各地域の観測で得られたデータを収集、永続的な蓄積、統合、解析するとともに、社会経済情報などとの融合を行い、地球規模の環境問題や大規模自然災害等の脅威に対する危機管理に有益な情報へ変換し、国内外に提供することにより、我が国の総合的な安全保障や国民の安全・安心の実現に資することを目的として、2006年度にスタートしました。
 

沿革

1980年代「地球環境データレポジトリ」、東京大学生産技術研究所高木幹雄教授が中心となり開発を開始。数多くのプロジェクトの支援を受けながら発展。
2006年度~2010年度国家基幹技術 海洋地球観測探索システム「データ統合・解析システム」の開始(第Ⅰ期プロジェクト)。
2010年度、プロトタイプの開発完了。
2011年度~2015年度国家基幹技術 海洋地球観測探索システム「データ統合・解析システム」の開始(第Ⅱ期プロジェクト)。
2010年度、プロトタイプの開発完了。
2016年度~2020年度「地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム」として第III期プロジェクト開始。
気候変動適応・緩和等さまざまな社会課題の解決に貢献するアプリケーションの稼動とサービス提供を目指した、長期的安定的な社会基盤としてのシステム構築および運用を開始。

 

DIASの国際貢献

国際的にも、全球地球観測システム(GEOSS : Global Earth Observation System of Systems) に参加する世界各国のデータセンターとの接続を実現しており、GEOSS への国際貢献としても位置付けられています。さらに、科学技術ファンディング機関の会合であるベルモントフォーラムで取り組まれている学際的・超学際的協働に必要な情報基盤(e-Infrastructure)の検討作業において、DIASは最も包括的に取り組んでいる先進事例と評価されています。

加えてDIASは気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)など様々な課題当事者/意思決定者と協働したプロジェクトとも連携し、気候変動適応・緩和等の地球規模の社会課題に貢献する社会基盤として、長期的安定的に利用されるシステムを目指しさらなる発展と進化を続けています。

DIASの概要
 

DIASへのデータアーカイブ状況

環境課題解決のためには、さまざまな全球的な観測データと再解析データ、ダウンスケーリングや高度なモデル構築のためのローカルな観測データ、都市の建物、植生分布、土壌などの地上被覆情報や下水道網の情報などが必要となります。さらに長期予測のためには、CMIP3/CMIP5 が必須です。加えて、災害や健康被害の発生統計、農産物、漁獲量などの生産統計など課題解決にかかわるデータをステークホルダーから提供してもらう必要があります。

DIASはこのような諸データを、連携するプロジェクトのプライオリティによりアーカイブしています。アジア・アフリカのようにデータのアーカイブに支援が必要な分野では、DIASがメタデータ作成、品質管理、データ投入までを一貫して支援するポータルを提供しています。その一方、すでに専門家が問題なく入手できているデータは必ずしもDIAS にアーカイブされてはいません。

今後、連携する各プロジェクトで高度なモデル構築のために作成されたデータは順次DIASにアーカイブされていく予定で、さらに省庁連携のもと各省庁のオープンデータも増えていく見込みです。
 

我が国における地球観測の推進に向けて

激甚災害への備えや気候変動適応への対策が急務となっている今、我が国における地球観測システムの統合を加速する必要があります。そのため、我が国において実施する地球観測事業について観測データの公開・共有を目的とし、データの公開URLおよび観測項目を含むメタデータファイルを、文部科学省の地球観測のポータルサイトに一元的に登録、掲載することになりました。

地球観測事業の実施機関がメタデータファイルを作成する際には、メタデータの様式を統一しデータの統合利用を促進するため、各事業で取得、蓄積しているデータの特性を吟味した上で、原則としてDIASのメタデータ作成支援ツールを使用して作成することとになり、100以上の事業を対象としてメタデータの登録作業を行い、現時点でその半数以上のメタデータの登録作業が完了しています。また事業の対象となっているデータセットのメタデータが公開されている場合、それらをダウンロードし、順次DIASデータ俯瞰・検索システムで検索できるように整備しています。